2017年度 理事長所信

はじめに

第二次世界大戦後の荒廃の中から「新日本の再建は我々青年の仕事である。」という熱き志と強い使命感を持った若き同志たちが集結し、日本の青年会議所運動に火が灯りました。基本理念である「修練」・「奉仕」・「友情」を三信条として、世界との普遍的なつながりを持ち、様々な困難に立ち向かい、全国各地で運動を展開して参りました。半世紀以上続く、日本の青年会議所運動は国の情勢や時代が変わっても決して変わることのない明確な目的があります。それは「明るい豊かな社会の実現」です。我々は時代の変化に立ち向かい、いかなる時も「他を範として学ぶ姿勢」を持ち続け、今日まで築き上げてこられた揺るぎない礎の上で地域ふるさとの発展を確信し、変革を起こし続けることが重要です。変革の第一歩はたった一人の見えない決断の瞬間から始まり、変革のきっかけは瞬間に訪れます。変革の瞬間を的確に捉え、勇気を持って力強く第一歩を踏み出し、志高く行動すれば、湖に投じた一石が大きな波紋を作るように地域ふるさとに住まう人々を巻き込み大きなうねりと変わり、これまで感じることのできなかった価値の創造につながります。この変革こそが青年会議所運動の本質であります。変化は自然に変わる事、変革は自らの意思で変える事、変革を起こそう!未来に向かい、輝く地域ふるさとの実現へ!

~変革の連続が輝く地域ふるさとを実現する~

未来へ 36年目の歩み

雪国青年会議所は1981年、全国で初となる地域の固有名称を冠さない青年会議所として誕生しました。当時4町の広域合併による「雪国市構想」を発表し、雪国市の実現へ向けて様々な運動を展開して参りました。しかし、「雪国市構想」の夢は叶わず、現在は3町合併による南魚沼市と南魚沼郡の1市1郡からなる青年会議所として活動しております。

昨年度、創立35周年を迎え、今日まで多くの先輩諸賢が地域ふるさとを愛し、揺るぎない礎を築き上げてこられたことに心からの感謝をし、これまで以上に地域ふるさとに根差した運動を展開していかなくてはなりません。しかし、現代社会においてライフスタイルや価値観が多様化し、青年会議所運動の焦点が絞りにくい現状と合わせ、地域のため、未来のためという意識が薄れている風潮の中で、運動を展開する難しさの試練に直面しています。この厳しい時代に今一度、先輩諸賢の創始の情熱、想い描いたまちづくりを学び、我々に課せられた責任を自覚することが必要です。

我々は地域ふるさとや日常の生活などを考えた時、「雪」というものは切りたくても切れないものであります。しかし、今日「雪」はやっかいものとして捉われがちですが「雪」には多くの可能性があります。体験・環境エネルギー・防災・文化・協働などこれらの可能性を我々は活かしきれていません。【雪さえなければ】から【雪があるおかげで】へと雪国ならではの新しい価値を創造し、「雪」に誇りを持つことで、地域ふるさとに誇りを持つことへとつながります。これこそが創立当時の先輩諸賢が想い描いたまちづくりではないでしょうか。「雪」に観点を持ち、5年先、10年先ではなく更にその先の未来を見据え、創立当時の夢であった雪国市実現へ向けて、再び「雪国市構想」に取り組み36年目の歩みを展開して参ります。

~過去から学び、未来へ~

未来を担う地域ふるさとの宝

戦後からの日本は急速な経済成長により、世界で有数の経済大国となり、経済的な豊かさを実現してきました。しかし、経済的な豊かさの反面、少子化や核家族化が進むとともに子供たちの心の豊かさが失われているのではないかと感じます。SNS等の発達に伴い、低年齢層の子供たちにも普及し、子供が関係した誹謗中傷が飛び交い、学校教育でも教師が生徒の問題に関わり難くなる等、多くの子供が自分に自信を持てず将来に希望を持てなくなってはいないでしょうか。これらは子供たちの問題ではなく、我々大人の問題であり、現代社会において他人の事を考えずに専ら個人の利害得失を優先し、他者へ責任転換をするなど大人社会全体のモラルの低下が進み、見習うべき大人の心の豊かさが欠落しているように感じます。悠久の歴史より連綿と育まれてきた日本人の精神性である、自他の尊重や他を慮る心を子供たちに伝えていくことが必要です。また、世界20ケ国の青少年に「先生を尊敬しているか」「親を尊敬しているか」という問いに「はい」と答えた割合で、世界の平均は80%以上に対して日本では20%程度で最下位という結果でした。このことから先ずは我々大人世代の教育への取組みを充実させ、大人自身の公共心、規範意識を見つめ直し、大人としてのあり方、子供たちとの接し方や子供の大切さを再認識する必要があります。我々大人が変わることで地域ふるさとが変わり、更には子供たちの未来が変わります。我々大人が己を律し、次世代を担う子供たちの道標となり「未来への可能性」を切り開き、架け橋となることで輝く地域ふるさとの実現への想いをしっかりと紡いでいくことができます。

~己を律し、未来への可能性を切り開く~

地域ふるさとと共に創る輝きリノベーション型まちづくり

民間研究機関の人口減少問題検討分科会の推計で発表された2040年問題として、現在、約1,800ある市町村の中から890以上の市町村が人口減少により消滅すると予想され、若者の大都市流出による一極集中の是正が提言されました。我々の地域ふるさとの人口推移予想では南魚沼市で約20%、湯沢町で約30%以上の人口が減少すると推計されております。これらの予想から南魚沼地域全体で約1万5千人以上の人口減少が予想されています。この人口減少に歯止めを掛けるために若者が流出しない魅力的なまちづくりを行う必要があります。青年会議所運動の特色として、まちづくりは重要で主体的な活動であり、様々な角度から地域の問題や時代の変化に合わせた社会問題など、専門分野に捉われずにまちづくりを行えるのは大きな特徴です。青年会議所以外の団体は専門性を持つ団体が多く、専門的な活動を継続しています。地域住民や他団体など複数の主体が連携し、多様な知恵と経験などの特色を共有する新たなまちづくりを推進するための基盤となるプラットフォームをつくり、地域全体でまちづくりに取り組む体制を構築していきます。また、まちづくりを考えた時、遊休不動産を活用し、公共空間を整備するなどのエリア価値を上げる公共的なハード型まちづくりを構想しがちです。しかし、これは多くのお金と時間を使い、時には負の遺産となることも考えられます。ハード型のまちづくりではなく、地域ふるさとに存在する伝統や文化、資源、人財、食など先人達が残してきた地域ふるさとの魅力を最大限に活用するリノベーション型まちづくりを推進していきます。
そして、民間が主体的にまちづくりのために行動を起こすことにより、人と人とのネットワークと地域コミュニティーが熟成され、単に心地よいベッドタウンであるだけではなく、人と人の輝きが織りなす躍動感のあるまちへ変貌を遂げると確信します。

地域ふるさととの共創で地域ふるさとを変えずに変える~

継続的な会員拡大と人財育成

組織の会員減少が進む現在、会員拡大は最大の課題であります。会員拡大は単に組織を維持するための活動ではなく、一人でも多くの次代を担う若者と共に、自らが住まう地域ふるさとの発展のために活動することです。輝く地域ふるさとの実現のために志高く行動できる魅力あるリーダーを生み出すためのツールが青年会議所活動には多種多用に整っています。昨年度、輝く地域ふるさとの実現へ向けて共に活動が出来る多くの人財を迎え入れました。新しい人財の組織への関わり方、青年会議所運動の素晴らしさを正しく導くことは経験豊かな会員の責務であります。JAYCEEとしてのルールや振る舞いなどを学ぶ機会をつくり、自ら考え、汗を流し行動する過程を体験することで、志高き青年経済人へと成長すると確信します。新たな人財の育成だけではなく、積極的に会員拡大に取り組むためには我々が青年会議所運動の魅力を自らの言葉で伝えるとともに、一人ひとりが誰から見ても魅力的で輝かしい存在でなければなりません。会員全体の人財育成を強化することで新たな人財との出会いにつなげ、更には組織の発展へとつなげます。

~行動で示そう!魅力あるリーダーであるために~

認められる組織へ

(一社)雪国青年会議所は35年間、時代、時代に役者を変えて、その時代に合った変革を続けて参りました。組織は変革を続け、発展していきます。しかし、青年会議所という組織には海外から見た日本と同じように多くのルールが存在し、時に変革の妨げとなることもあります。より強固な組織になるためには今までの組織の在り方にこだわる必要はなく、原理原則に従い、時代の変化に合わせた規則を遵守しながらも、柔軟な組織の変革と組織運営を進めることが必要です。全会員が組織変革のプロセスへ参画する事で組織に対する意識や考えを理解し、知識を得て経験を積み、個が成長します。個が成長することで強固な組織を確立させ、地域社会から認められる組織となる必要があります。そのためには広報活動も認められる組織を確立するための運動のひとつであります。単に我々の運動や活動報告を羅列するだけでは、見る側にとって有益なものとはなりません。その目的が分り易く、明確に伝わり、我々の運動が見る側の心に届く情報発信が必要です。ITの発達により様々な媒体から情報は拡散されるようになり、溢れかえる渦の中から情報をいかに正確に伝えるかが重要です。地域ふるさとに広く発信し、幅広い情報受信者へとつなげることで我々の運動の影響力が増加し、更には賛同者を増やすこととなり、認められる組織が確立すると考えます。

~組織の発展は変革の連続からなる~

JAYCEEの絆

全国各地に697の青年会議所が存在し、それぞれの地域で「明るい豊かな社会の実現」へ向けて様々な活動を行っています。そして、青年会議所には都道府県を管軸するブロック協議会、地区を管軸する地区協議会、全国を管軸する日本青年会議所本会があり、各地に出向をする機会があります。この出向の機会を積極的に活用することが地域ふるさとの発展には重要だと考えます。消極的な姿勢や受け身の姿勢では素晴らしい仲間、素晴らしい情報を得ることは出来ません。新潟県内から全国各地の同志と積極的に出会い、様々な情報を吸収し、JAYCEEの絆を深め、広い見識を持ち帰ることで、輝く地域(ふるさと)の実現への一助となるように構築して参ります。
地域ふるさとの更なる発展とJAYCEEとしての更なる成長の一助とするために昨年度、友好関係にあった(公社)西入間青年会議所と友好JC提携を結びました。地域ふるさとの魅力を当り前のものとしないためにも、異なる文化や価値観などに触れ、人と人とのつながりを通して、互いの活動や地域ふるさとの魅力を知り、会員同士の交流を通してJAYCEEの絆を強固にし、互いに刺激し合う事で組織の発展、地域ふるさとの発展へとつなげ、更には夢のある共同事業が出来る可能性を広めて参ります。

~JAYCEEの絆が地域ふるさとを創る~

結び

我々は青年会議所に入会しない選択肢もあったかも知れません。しかし、JAYCEEである選択をしました。この道を選んだ、地域ふるさとを牽引する青年であるからこそ、率先して変革を起こさなければなりません。会社と家族を持ち、多忙な日々を過ごしている我々は不思議なもので、忙しい時期に青年会議所での大きな担いに直面します。理由を並べて断ることは誰にでもできますが、そこで踏ん張るのがJAYCEEであり、青年会議所でしか経験することの出来ない修練です。この修練こそが経験で、人生の財産であります。限られた時間の中で仲間と共に様々な困難に立ち向かい、変革の一歩を踏み出すことで可能性は広がります。地域ふるさとが変革するための根源は「ひと」です。ひとが変革を起こした瞬間に、地域ふるさとを創る。

与えられた機会を掴み取り、夢物語で終わることのない未来への物語を描くJAYCEEとなり、輝く地域ふるさとの実現へと邁進します。

~変革の第一歩は微力。決して無力ではない~

【基本方針および重点目標】

  • 一. 過去から学び輝く地域ふるさとの確立運動
  • 一. 大人が学び未来へ紡ぐ青少年育成運動
  • 一. リノベーション型まちづくりの推進
  • 一. 地域連携を構築し、可能性を開く運動
  • 一. 人財育成を通じた力強い組織の確立
  • 一. JAYCEEの絆を深め輝く青年経済人の確立
  • 一. 正確な広報活動と組織運営の強化
  • 一. 会員数60人必達 ~Challenge to the60~