一般社団法人雪国青年会議所2016年度理事長所信

一般社団法人 雪国青年会議所
2016年度理事長 中島 知一

雪国ブランド「皆の想いを力に変えて、共に運動することが新たな雪国の未来を創造する」

はじめに
 1981年、この雪国の地に「雪国のふるさとに熱き創造の息吹と高き理想の光を!!」と熱き志を抱いた同志の元、「明るい豊かな社会の実現」という理念を抱き、全国で694番目の青年会議所として雪国青年会議所は産声を上げました。2016年、(一社)雪国青年会議所は創立35周年を迎えます。当青年会議所が今あるのは、これまで地域のために尽力された先輩諸氏のおかげであります。そのことを改めて深く感謝し、今日までの歴史や伝統からの学びを大切にし、会員一人ひとりが今まで以上に地域のため行動することで(一社)雪国青年会議所は大きく成長します。我々若者の熱き想いと行動が、この愛する雪国地域を明るい豊かな社会へと発展させると信じ、青年会議所運動に邁進してまいります。
 今日、国の政策として「地方創生」という言葉をよく耳にします。地方創生とは一言で言えば地方の自立です。各地方が自立し、持続的な社会を作ることが地方創生であると考えますが、現状政府としての地方創生の定義や意味はとても曖昧なものに感じます。政府はこの曖昧なものを具体化させるため、「まち・ひと・しごと創生」のキーワードによって地方創生の理念を具体化させました。我々の地域が自立し、持続的な社会になるために何が必要であるか、会員一人ひとりが市民として、そして青年会議所メンバーとして何をしなければならないかをしっかり考え、多くの人々に発信すべく活動する必要があります。

~創立35周年を迎えるにあたり~
 (一社)雪国青年会議所は地域の皆様のご理解とご協力、そして先輩諸氏のこれまでのご尽力で35年間の歴史を紡いでまいりました。この歴史は先輩諸氏がその時代に「明るい豊かな社会の実現」のため弛まぬ努力を続け築き上げた歴史であります。今、我々の活動はこの努力の礎の上に成り立っています。我々は35年の歴史を感じ、先輩諸氏から受け継いだ創始の想いを絶やすことなく、更なる想いを乗せて次の世代に繋いでいかなければなりません。35年にわたり、我々の活動の礎を築いてくださった先輩諸氏への感謝の想い、我々の活動を支えてくださった地域の皆様への感謝の想い、同じ志を持つ各地青年会議所の皆様への感謝の想いを胸に(一社)雪国青年会議所は創立35周年記念式典を開催します。そして、次の創立40周年に向けて新たな一歩を歩んでまいります。

~青年会議所のブランディング~
 青年会議所とはどのような団体で何をしている団体であるか、家族や社員、自分の周りの人は知っているでしょうか。我々青年会議所は日々地域の「明るい豊かな社会の実現」を目指し、運動しています。しかし、青年会議所が何をする団体であるか、実際に何をしているか、地域に広く知られていないのも事実です。それは、我々が自分たちの運動を地域に広く認知してもらうための発信がまだまだ足りないことが原因であります。また、青年会議所の特質に「会員はいかなる人種、国籍、性別、職業、宗教にあってもかまいませんが、年齢満20歳から40歳までであることを要し、“品格ある青年”でなければなりません。」とあります。我々が青年会議所のメンバーであることに誇りを持ち、愛する地域、故郷のために考え・行動する“品格ある青年”として自分の行動に責任を持たなければなりません。2016年度は(一社)雪国青年会議所を今まで以上に地域から必要とされる団体であるようにブランディングしていきます。そして(一社)雪国青年会議所を地域のブランドとして、しっかりとした立ち位置を確立します。まず我々が常に地域の期待や信頼に応え、共感してもらうような運動を行い、その運動を通して我々(一社)雪国青年会議所が何をして、どのような団体であるかを広く地域に発信し、青年会議所の運動を地域の人々に認知してもらうこと、そして我々自身が地域の未来を担う青年経済人であり、JAYCEEであることを今まで以上に自覚し、“品格ある青年”として行動することで、(一社)雪国青年会議所は地域の人々にとって一つのブランドとしてのしっかりとした立ち位置を確立します。

~地域のたからと発信力~
 我々の住む地域を広く知ってもらうためには発信力を高めることが必要です。近年、少子高齢化・人口減少が地域の大きな問題となっている中、強い地域社会を持続させるためには、自分の地域から逃れるのではなく、自分の地域の特色を発信し、外に向かって知ってもらうことが重要になります。我々の地域には外に伝えるべき多くの景観、景色、自然が存在しています。また、それだけではなく歴史や文化、伝統、芸能、特産品など、たくさんの魅力的なものがあります。これらをより広く、より魅力的に発信する方法を学び、発信していく必要があります。発信力とはただ言葉や映像を並べてプレゼンテーションすることではありません。発信力とは人を動かすことです。つまり、言葉を聞いた、映像を見た相手がより興味を示し、行きたい、食べたい、欲しいなど、伝えた相手が動いてくれることが、地域を発信することであり、その力が発信力です。ではこの地域の発信力を向上させるにはどうすればよいのでしょうか。まずは自分の住む地域を熟知することです。そして、自分の経験にすることで発信力は高まります。地域に暮らし、地域を熟知し、地域を愛するすべての人たちが地域を発信することができるのです。
 言葉や映像だけでなく、地域を発信する上でどうしても活用したいものがインターネットです。発信力は言葉や映像を使って相手に伝え、相手を動かすことであります。しかし、その伝えるべき相手が少ないと発信の効果は少なくなります。大都市に比べて人口の少ない地域はいかに多くの人に情報発信をするかが重要になります。そこでインターネットを使った情報発信が効果的になります。ほとんどの人たちが情報を得るためにインターネットを使うのが当たり前の時代です。そして、インターネットの世界には地域格差は存在しませんし、情報発信の面で都市部と地域は平等なのです。インターネットの進化はSNSやユーチューブなどの動画配信サイトで地域を発信するさまざまな可能性を作ってきました。これらの正しい使い方を学び、活用することでこの雪国を新潟、全国、全世界へと発信します。

~地域の国際交流から国際観光地へ~
 観光を産業とするこの地域の持続的発展を考える時、人口減少と共に大きな要素となるのは今後も低成長を続けると考えられる国内経済です。地域経済の持続的な発展を考えると、国内需要のみに頼らないで国外需要を取り込むことも考えなければなりません。地域の経済的発展ということでまず思いつくのが国際観光です。日本の観光といえば、かつては大きな観光地がメインでしたが、近年は渋谷のスクランブル交差点や田舎の原風景など、小さくても固有性を持つ観光地が注目されつつあります。田舎にしかない風景や四季のうつろい、人々の営みそのものが大きな観光資源になっているのです。高価値・少客数のグローバル観光戦略、つまり、来客数を抑え、地域の資源を守りつつ、高い付加価値を狙う戦略が地域の国際観光地化への糸口であると考えます。この地域が国際観光地となるためには、まず国際交流が必要です。文化も考え方も価値観も違う人を自分の地域に招き入れるのだから、招く側もしっかりと準備しなければなりません。幸いにも南魚沼市には国際大学があります。国際大学の学生との交流を通し、お互いの文化、考え方、価値観などを受け入れることで我々自身も国外の人々を招き入れる準備ができます。さらに国際大学の学生と日本の文化・地域の文化を共に考え、世界に発信していくことができるのです。日本にしかない固有性は大きな魅力でありますし、地域には当たり前だと思われ、埋もれていた資源が数多くあります。その資源をうまく組み合わせ、我々がしっかりとした準備をすることができれば、この地域の国際観光地化は必ずできます。そのためにも国際大学の学生たちと交流し、様々な視点から地域について考えることが「当たり前」を「特別」に変える道を探す大きな一歩になります。

~地域の未来のため、地域の人々と共に~
 青年会議所の事業目標は“社会と人間の開発”であり、そのなかの一説に“われわれ会員は市民社会の一員として市民と共通の生活基盤に立ったものの考え方見方を出発点とし、市民の共感を求め、住みよい明るい豊かなまちづくりに向かって努力する”とあります。2015年度の(一社)雪国青年会議所は「若き強靭な想いの元 この雪国の熱き火種となれ!!」をスローガンにさまざまな事業を行い、運動を展開してまいりました。昨年一年間の運動を通して南魚沼郡市の方々に飛び火した火種をどのように伝播していくか、それは2016年度の課題であると考えます。これまで我々が関わった地域の団体・人々と共に、この地域に住まう人々の明るい豊かな未来の実現のために行動することで、伝播された小さな火種が燃え上がり、大きな炎になります。そのひとつとして、2015年度この地域の夢として、新潟県での冬季オリンピック開催の招致を目指した提言書を作成し、県知事に提出しました。2030年の冬季オリンピックを新潟県で開催するため、まず新潟県に開催地として立候補してもらわなければなりません。2016年度はこの地域の人々を巻き込み雪国地域全体として、新潟県が冬季オリンピック招致に声を挙げるように招致運動を継続します。
地方創生、つまり我々が住む地域が自立し、継続的な社会になるためには青年会議所単体だけでなく、同じ地域の他団体や地域の人々と活動することが必要になります。多くの人々を巻き込み運動を展開していくことで、今この地域の様々な問題を解決する糸口がきっと見つかるはずです。地域のことを思う人々は我々以外でも沢山います。その人々の想いをしっかりと我々がくみ取らなければなりません。我々青年会議所は単年度制ではありますが自らが住まう地域を良くしようと思う想いは35年間変わっていません。2016年度も我々が創立当初からの想いをしっかりと受け継ぎ、地域の皆と運動することでこの地域が自立するための一歩を踏み出します。

~他の地域との連携~
 全国には697の青年会議所があり、自分たちの住む地域を活動エリアとし、その地域の「明るい豊かな社会の実現」を目指し日々運動しております。そのなかでも埼玉県の坂戸市周辺を活動エリアとする(公社)西入間青年会議所とは2013年から友好JCの提携を考え交流してきました。また、南魚沼市と坂戸市が2014年に友好都市提携を結びました。2016年度は我々(一社)雪国青年会議所も(公社)西入間青年会議所と友好JCの提携を結びます。お互いに事業を通しての交流や災害時などの協力関係を構築していきます。また、青年会議所だけでなく我々がきっかけとなり地域の人々も交流する機会を作ることで今後行う事業の幅を広げることもできます。他の青年会議所と友好JCの提携を結ぶことにより生まれる絆や機会は我々(一社)雪国青年会議所メンバーにとってさらなる成長の一助となります。

~会員拡大~
 2016年度、(一社)雪国青年会議所は38名の同志でスタートします。近年全国的に青年会議所の会員数は減少傾向にあり、各地青年会議所では会員拡大の必要性に迫られております。当(一社)雪国青年会議所も2014年に会員拡大をし、50名以上の青年会議所となりましたが、近年多くの会員が卒業を迎えるにあたり、今まで以上に地域のために運動していくには、今一度大規模な会員拡大が必要不可欠です。会員の数はその青年会議所の体力そのものであり、青年会議所運動の原動力へと繋がります。しかし、ただ会員数を増やせばよいというわけではありません。地域の「明るい豊かな社会の実現」という理念に賛同し、自らが住まう地域のために一緒に汗を流せる、そんなメンバーを一人でも多く同志として迎え入れることが重要です。近年様々な手法で会員拡大に取り組んでまいりました。2016年度は拡大特別委員会を設け、その委員会を中心に(一社)雪国青年会議所の存続をかけ、全メンバーで会員拡大に取り組みます。より良い手法を研究し、地域を愛する我々と同じ志を持った人々が共に運動しやすい環境を整え、メンバー一人ひとりが青年会議所の運動の趣旨をしっかり伝えることで地域のために自ら行動できる質の高い会員を増やし、それが(一社)雪国青年会議所の運動の原動力になると確信します。

~結びに~
地元に帰ってきた時は、自分の地域についてまったくの無関心でした。そんな地元に無関心だった私が地元地域のためになにか行動しよう、地元を住みよい地域にしようと考えるようになったのは雪国青年会議所に入会したおかげです。多くの先輩諸氏から、地域を思う想い、青年経済人・JAYCEEとしての在り方を学び、共に運動を展開するメンバーと切磋琢磨したことが、自らが住むこの地域を愛することのできる人間に成長させてくれました。青年会議所は普段経験できない事を自ら学び、経験し自身を成長させる青年の学び舎であります。青年会議所の事業や運動を通して学んだことは他では学ぶことのできないとても大切なものであります。青年会議所で切磋琢磨し、苦楽を共にしたメンバーは最高の仲間であり、生涯の財産であります。しかし、財産は持っているだけでは意味はありません。その財産であるメンバーと共にこの地域をよりよくするために行動することが、生涯の財産の正しい使い道です。
皆の想いを力に変えて運動しよう。一人でやれることはとても小さいです。しかし、皆少なからずこの地域を思う想いはあります。その想いを一つに集め力に変えよう。仲間たちと共に運動することで、その力が何倍にも大きくなり、この地域の人々を巻き込むことでその力はさらに何倍にも膨れ上がります。我々が地域の人々と共に運動することが、新たな雪国の未来を創造し、雪国ブランドを確立します。